なぜ損切りが必要なのか
株のトレードでは、どんなプロでも必ず負けることがあります。勝率100%のトレードは存在しません。重要なのは「勝つときに大きく勝ち、負けるときに小さく負ける」ことです。
損切りはそのための道具です。「この損失まで許容する」という上限をあらかじめ決めておくことで、1回の負けで致命的なダメージを受けずに済みます。
損切りしないとどうなるか
具体的な数字で見てみましょう。
1,000円で100株(10万円)購入。株価が下落し始めた。
「もう少し待てば戻るかも…」と持ち続けた結果:
・−5%(950円):損失 5,000円
・−10%(900円):損失 10,000円
・−30%(700円):損失 30,000円(口座の30%消失)
何%に設定すればいいか
正解はトレードスタイルによって異なりますが、デイトレ初心者には−2%〜−3%が目安としてよく使われます。
| 損切り幅 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| −1〜2% | 損失は小さいが、ちょっとした値動きで損切りされやすい | 資金が少ない・慎重派 |
| −3% | バランスが良く初心者に使いやすい | 初心者全般 |
| −5%以上 | 損失が大きくなりがち。慣れてから | ある程度経験がある人 |
損切りラインの決め方2パターン
① 固定%で設定する(初心者向け)
購入価格から一定の%を損切りラインにするシンプルな方法です。
購入株価:1,000円 → 損切りライン:970円(−3%)
100株保有なら最大損失は −3,000円
② 直近の安値を参考にする(少し慣れてから)
チャートを見て「直近でここまで下げた」という安値を損切りラインにする方法です。その安値を下回ったら「相場が崩れた」と判断して撤退します。
感情で動かないための準備
損切りが難しい最大の理由は「感情」です。「もう少し待てば戻るかも」という気持ちは誰にでも生まれます。これに負けないためには、注文を出す前に逆指値(OCO)で損切りを設定しておくことが一番効果的です。
あらかじめ設定しておけば、自分が判断しなくても自動で損切りが実行されます。
実際に36トレードで検証してみた
ここからは、筆者が自分のFX取引で36トレードすべての「最大逆行」を記録して検証した結果です。最大逆行とは、そのトレードを持っているあいだに一番マイナス側に振れたところのこと。最終的にプラスで終わっても、途中で−20pips沈んでいれば最大逆行は−20pipsになります。
これを全件記録しておくと、「もし損切り幅を◯◯に置いていたらどうなったか」を後から計算できます。同じことは株でもできます。
| 損切り幅 | 合計 | 勝率 | 切られる件数 |
|---|---|---|---|
| −8pips | −79.9pips | 27.8% | 26件 |
| −12pips | −60.1pips | 41.7% | 20件 |
| −20pips | −93.2pips | 52.8% | 12件 |
| −24pips | −55.4pips | 58.3% | 6件 |
| −25pips | −30.1pips | 61.1% | 4件 |
| −30pips | −39.9pips | 61.1% | 1件 |
| 実際(切らずに待った) | −45.8pips | 61.1% | — |
このデータから分かったことが2つあります。
さらに正直に書くと、この記事を最初に書いた時点(30トレード)では、−25pipsは「+57.0pips」でした。そこから6トレード足しただけで −30.1pips に変わっています。
「最適な損切り幅」は、サンプルが増えるたびにひっくり返ります。筆者の場合、わずか6トレードで結論が逆転しました。ネットで見かける「損切りは◯%が正解」という数字も、同じように少ないデータから出ている可能性があります。
ここから言えるのは、損切り幅の最適値を探すこと自体が、あまり意味を持たないということです。重要なのは幅そのものより、決めた幅を守れるかどうかでした。それが次の話につながります。
「切ると損する」は思い込みかもしれない
損切りができない人の多くは、「切る=損が確定する」と感じています。ただ、損切りラインをどこに置くかで、切ったときのコストはまったく変わります。
筆者のルールでは損切りラインを「買った値段そのもの」に置いています。この場合、ルールどおりに切ると損失はほとんど出ません。実際に6回ぶんを計算してみた結果です。
| ケース | ルールどおり切った場合 | 待った結果(実際) |
|---|---|---|
| 1 | −2.0pips | −24.6pips |
| 2 | −2.1pips | −28.6pips |
| 3 | +0.7pips | −25.0pips |
| 4 | −2.5pips | −26.2pips |
| 5 | −5.7pips | −15.3pips |
| 6 | −0.5pips | −21.7pips |
| 合計 | −12.1pips | −141.4pips |
ルールどおり切っていれば−12.1pips、待った結果が−141.4pips。129pipsの差がつきました。しかも3番目のケースは、切っていればプラスで終わっていました。
株でも同じです。買値のすぐ下に逆指値を置いておけば、切られても損失は小さい。問題は、損切りラインを遠くに置きすぎることと、置いたラインを無視して待ってしまうことです。
損切り幅を何円に置くかは、その銘柄が1日どれくらい動くかによって変わります。
まとめ
- 損切りは「失敗」ではなく「リスク管理の実行」。プロほど損切りが速い。
- 損切りしないと小さな損が致命的な損失になる。30%下落の回復には43%の上昇が必要。
- 初心者の目安は−2〜3%。何%かより「決めて守る」ことが大切。
- OCO注文で買う前に損切りを設定しておくと、感情に左右されない。